二人で旅する2リズム


2 RHYTHM

子どもと一緒にどこ行こう?大刀洗の景色に眠るものがたりを探して 前編

大刀洗は、大堰駅や本郷駅、西太刀洗駅と、西鉄も甘鉄の駅もあり、電車でのアクセスも便利。
しかも、どの駅もノスタルジックなローカル線ならではの雰囲気が残っていて、
撮り鉄じゃなくてもそそられるフォトジェニックなスポットなんです。
周辺には名物グルメや名所が点在し、一日回ればちょっとした旅気分が味わえます。
そこで、今回は写真が趣味という諫山さんが愛機片手にぶらりと大刀洗へ。
大刀洗町役場に勤務する棚町さんを案内役に、アジのあるローカル線の駅や棚町さんお気に入りのスポットを巡って、
「大刀洗アルバム」を作ります。

案内する人

棚町 寿さん

大刀洗の魅力をPRする大刀洗町役場の職員。地方創生や公共交通施策の担当をしている。電車は、久留米や甘木、小郡へ飲みに行く時に利用するそうで。行先によって、西鉄電車や甘木鉄道を巧み使い分けている。今回は「大刀洗の人にも触れて欲しい」と、棚町さん行きつけのお店の中から駅周辺にある、「元気な大刀洗人に会えるスポット」を紹介してくれた。

案内される人

諫山 典生さん

大学では写真学科に所属し、カメラ歴はフィルムカメラからスタートして13年。今の愛機はクラシックなフォルムに一目惚れしたNikonのDF。その時にしか出会えない光景を焼き付けたいと、ジャンルを問わず琴線に触れたものを取り続けている。今回はローカル線ののどかな風景を楽しみに駅に降り立った。

14:30

西鉄甘木線大堰駅で諫山さんをお出迎えした棚町さん。乗ってきた電車が去った後も、次の電車を撮影したいと、しばしホームでおしゃべりしながら休息中。普段見慣れない無人の駅は早くも諫山さんのカメラマン魂に火をつけたようで、早速ホーム内の撮影がスタートしました。

 

水色のレトロな椅子に腰掛けながら、電車待ち

電車が来たのに乗車しない二人に、車掌さんは不思議そう。

諫山さん

この木?
電柱も味があるなあ。(パシャ)

棚町さん

あ、早速撮ってる。
でも本当だ、この電柱かっこいいな。

諫山さん

この駅は普段どんな時使われているんですか?

棚町さん

主に通勤通学ですね。
朝は高校生が多いですし、福岡や久留米方面、また朝倉方面に勤務されている方も多く乗車されているようです。
日中は、久留米や福岡へ遊びや買い物へ行方も利用されています。

諫山さん

地域の人に愛されているんですね。
ここは無人駅なんですが、ホームは掃除も行き届いていて、トイレもきれいでした。
そういえばニモカなどを使用して、電車乗ってきてチャージ金額が足りなかった場合はどうしたらいいんですか?

棚町さん

その時は、係員さんのいらっしゃる大型の駅で申告して支払います。

諫山さん

なるほど。
あ、電車が来ましたね。

 

大刀洗町役場広報担当者の有薗さんも一緒に明るい日差しが差し込むカフェスペースでランチ

念願の電車を撮影した後は、大堰駅から歩いて2分ほどのドリームカフェへ。
今年の4月末にリニューアルオープンした町立図書館の横に開設されたこのカフェは、
なんと日替わりでオーナーが変わる珍しいシステム。
地域の憩いの場としての役割はもちろん、カフェを出店してみたいと考えている人が
お試しでチャレンジできる就業支援の場でもあるんです。
今日は、ワンコインランチが人気の「みやざきカフェ」が出店中。
こちらは豆を厳選した一杯立てコーヒーも名物。棚町さんと同じく、
大刀洗町役場広報担当の有薗さんも合流して、3人でランチをいただきます。

棚町さん

図書館が今年の4月末にリニューアルしたのですが、そこに合わせて集いの場、そしてチャレンジの場としてこちらのカフェをオープンしました。

今日のオーナーの宮崎さんは、民間で働いた後、退職されてこのカフェを始められたんですよ。
町の広報誌の「つながるコーナー」にも登場していただいたんです。

有薗さん

夫婦で営業されていて、料理は奥様、コーヒーが旦那さん担当だそうですよ。
図書館の休館日である月曜はお休みですが、それ以外の日は大体5団体くらいの方々が入れ替わりで入っています。

諫山さん

飲食経験が無かった人もいらっしゃるんですよね。
すごいな。
今日もほぼ満席で、大人気ですね。

お話をしている間に、ワンコインランチが到着!
今日のランチは、鶏肉と彩り野菜の塩麹炒めと安納芋ご飯。
柔らかくジューシーな鶏肉は、ほんの少し塩気がきいていて、甘い安納芋のご飯とも相性バッチリ。
ご飯よりも多いくらいゴロゴロと入った安納芋はご近所の方から分けていただいたものを使用しているそうで。
スープ付きで食べ応え十分なのにワンコインとは、恐るべしドリームカフェ!
諫山さんも彩り豊かなランチを早速激写します。

本日の日替わりランチ。目にも鮮やかな野菜たっぷりのワンプレート

諫山さんカメラ講座がスタート!有薗さんもカメラに興味津々。

有薗さん

さすがお上手ですね〜!
私も自分で撮影しているので教えて欲しい〜!

諫山さん

広報の方は皆さん自分で撮影しているんですね。

有薗さん

それまで全然撮影していなかったので、模索しています。
あ、冷めないうちにいただきましょう。

諫山さん

はし袋も手作りなんですね、かわいいな。
あ、安納芋めっちゃ美味しい!甘い!
栄養もバッチリですね。

棚町さん

食後は旦那さんこだわりのコーヒーを飲みましょう!

食後は諫山さんによるカメラ講座を挟みつつ、コーヒータイムを満喫。
オーナーの宮崎さんは高校の頃、カフェを出店する夢があったそう。
退職後、その夢を叶え、今はお客さんとの会話を楽しみながら、コーヒーを入れるのが楽しみだとか。

コーヒーを淹れるオーナーの宮崎さんと激写中の諌山さん。
カウンター席では会話を楽しみながら目の前で淹れてくれます

宮崎さん

そのカメラはフィルムですか?

諫山さん

いや、フィルムに見せかけたデジタルです。
フィルムカメラを使っていた方が使うモデルですね。

宮崎さん

僕もレンズが二つあるのを使ってました。
進化しましたね。
昔のカメラはめんどくさいのがいいんですよね。

諫山さん

そうそう。
僕も時間がある時はマニュアルで撮ってますね。

思わぬカメラ談義を交わしながら、コーヒーがゆっくりと注がれます。

棚町さん

コーヒーを淹れるコツってあるんですか?

宮崎さん

重さと時間に気をつけていますね。
あとは「美味しくな〜れ」って思いながら淹れています(笑)

諫山さん

豆から挽いたコーヒーはまろやかな味わいで後味がスッキリ。
食後にピッタリですね。
豆はどこで仕入れていらっしゃるんですか?

宮崎さん

豆は、小郡の「Morrow珈琲」や久留米の「COFFEE COUNTY」で選んでいます。出店する時に色々なコーヒーを飲み比べて好みの味を探して。
「Morrow珈琲」のオーナーさんはとても優しい性格なんですね。
そこの豆は優しい味がする。
「COFFEE COUNTY」 の豆はキリッとしている。
その人の性格って豆の味にも出るんですよ。

諫山さん

なるほど。
優しい味だ。
こちらが1杯300円、ランチのセットだと200円なんですね。
驚きだなあ。

フィルムカメラと一杯立てのコーヒー、手間がかかるけれども温もりが味わえる所がどこか似ているのかも。
さて、リフレッシュした後、棚町さんがとある神社へ案内してくれました。

 

大堰公園の目の前にある大堰神社。
春は桜の名所だそう

諫山さん

お邪魔します。
あれ、社殿の中に広いスペースがある。

棚町さん

このスペースは、奉納祭など様々な催しが行われる時に使用されます。

諫山さん

ほほう。
こちらには誰が祀られているんですか?

まずは二人とも神社にご挨拶。
柵の前には広い空間があり、ここで催しが行われます

棚町さん

この神社は床島堰難工事の功労者である「草野又六さん」と5人の庄屋さんを祀ってあります。
彼らがとても苦労されて筑後川の中に堰を築かれたそうです。
筑後川は川幅が広くて流れも急だったので、当時の工事はとても難航したと聞いています。
でも、この堰が完成したおかげで、農地に水をひくことができ、たくさんの農作物を作ることが可能となりました。
大刀洗町の農地の大部分は、この床島堰のおかげで豊富な水を得ることができています。

諫山さん

堰ができたおかげで、今も大刀洗は農業が盛んなんですね。
今も堰は残っているんですか?

棚町さん

見れますよ。
ここからは、少し遠いのですが堰まで行ってみましょうか。

大堰神社から車で約5分。
今も残る堰「床島堰」を見学に行きました。
ススキが揺れる土手の向こうの筑後川に、堰が残されています。

広々とした川に架けられた堰。
非常に困難な工事だった事が分かります

諫山さん

すごい光景だ!
堰は自然に溶け込んでいますね。
こういった堰は町の中にもたくさんあるんですか?

棚町さん

ここまで大きなものはありませんが、小さなものが町内にも数か所ありますよ。
筑後川の水をここで一度せき止めて、町の中にひきこんでいるんです。
こんな幅広い川の水を、しかもこれだけの急流を堰止めるんですよ。
当時の工事中は、流れが急でなかなか石が固定されないので、石を積んだ船ごと川に沈めて土台を作ったと、「大刀洗町史」には記録されています。

諫山さん

ここから水がどんどん広がっているんですね。
すごいな。よく考えられていますね。

大刀洗の農業発展を支え続けた堰を眺めながら、写真をパチリ。
大自然に感動した後は、棚町さん推薦のグルメを求めていざ移動・・・。
と、その前に、諫山さんが気になっていたスポットへ寄り道してみました。

 

諫山さん

あの〜、日本一??
狭いホームの駅があると聞いたので行ってみたいんですが・・・。

棚町さん

大堰駅の一つ隣の本郷駅ですね。
日本一狭いのかどうかは、はっきりとした確証はできませんが、確かに狭いです。
本郷駅のことですね。
こちらですよ。

着いたのは本郷駅。
こちらは枝分かれした2本の線路に挟まれるようにホームが設置され、その幅は両手を広げたほどの広さしかないんです。

諫山さん

ここ、白線の後ろに下がったら、反対のホームに入っちゃいますね。

棚町さん

意識していなかったけど、そういえばそうですね。

諫山さん

白線の内側って、ホームの中心に敷いてある黄色いブロックなのかも。

棚町さん

う〜ん。
狭いので駅に入ってくる電車には十分に気を付けて待っておく必要がありますね。

白線の後ろにお下がりください…とは一体どこの場所!?

狭いホームならではの疑問は尽きませんが、線路の合間にぽっかり浮かんだ小島のようなホームは珍しいもの。
地元の人ではなかなか気づかない諫山さん視点に棚町さんも思わず考え込みます。
ホームから目を上げれば、線路沿いには秋の花々、その向こうには広々とした田園風景が広がり、歩くだけでも癒されます。
さあ、次はミートショップうめもとへ。
棚町さんが名物料理を予約してくれているそうです。

 

買ったらすぐに食べたくなるチキン。
早速この味のトリコになった二人

棚町さん

大刀洗は馬刺しが有名なんですよ。
こちらは地元で3代続く馬刺しの老舗です。
でも今回はもう一つの看板料理を味わってもらいます。
このロースターの中を見てください。

諫山さん

あ、骨つきチキンだ!
美味しそう!

チキンはじっくりと火を通す事で、旨みを閉じ込め柔らかく仕上げる

梅本さん

秘伝のタレに漬け込んだ鶏モモ肉を店頭のロースターで30分かけて焼き上げています。
はい、どうぞ。

キツネ色に焼き上げられたチキンは、豪快にかぶりつくのが一番美味しい食べ方。
パリッと香ばしい皮を噛み締めると、肉の旨みが広がります。
甘辛いタレがしっかり染みていて、止まらない美味しさです。

モモはなんと1本220円。
丸ごと1羽の場合は1,200円とかなりお手ごろ

諫山さん

脂っこくなくて、身が柔らかくほぐれてフワフワ!
うわ〜美味しい!

梅本さん

グリルで余分な脂を落としているので、ギトギトしていないんですよ。

棚町さん

お酒にももちろん合うし、このあたりの子どもたちはおやつ代わりに食べています。
友人たちとパーティーをする時などはこちらで馬刺しとこのチキンを買うのが恒例です。
チキンは予約制なんですよね?

梅本さん

はい、事前にお電話をいただいてからご準備します。
チキンは丸ごと一羽も売っています。
クリスマスシーズンが一番多いですね。

諫山さん

僕もチキンと馬刺しをお土産にします!

チキンにかぶりつく棚町さんをかぶりつきで撮影!

こちらの看板商品の「馬刺」もお忘れなく。
大刀洗の馬刺は赤身がメインで、しっかりとした旨味ながらも、あと味はさっぱり。
いくらでも食べられます。

行き先は風に聞いてくれ…棚町さんと旅する大刀洗電車男旅後編へ